27歳、自分の「軸」が見つかった日――価値観マップを作ってわかったこと
「何がしたいのか」がわからなくなった
社会人になって数年が経つと、ふと立ち止まる瞬間があります。
「このまま仕事を続けていていいのか」「副業をやってみたいけど、何が自分に合っているのかわからない」「やりたいことを探せと言われるけど、そもそもやりたいことって何だろう」。
20代は選択肢が多い時代です。でも選択肢が多いということは、迷う理由も多いということ。SNSを開けば誰かが充実した日々を発信していて、自分だけ止まっているような感覚になることもあります。
私も同じでした。半導体メーカーでエンジニアとして働きながら、「このままでいいのか」という問いが頭の隅にずっとありました。副業に興味はある。ブログも書いてみたい。でも何から手をつければいいのか、そもそも自分は何のために動きたいのかが、霧の中にある感じ。
そこで試みたのが、価値観マップを作ることでした。
価値観マップとは何か
「価値観マップ」と聞くと、就活の自己分析ツールを想像する方もいるかもしれません。でも私が作ったのはそういうものではありません。
もっと単純に言えば、「なぜ自分はこう動くのか」の設計図です。
好きなことリストでも、強みの棚卸しでもない。「あの時楽しかったのはなぜか」「あの時消耗したのはなぜか」という問いを積み重ねて、自分の行動の根っこにあるものを言語化する作業です。
完成したからといって人生の答えが出るわけではありません。でも地図を持っていると、迷った時に「自分はどっちに向かいたいのか」を確かめる基準ができます。それだけで、選択の精度がかなり変わりました。
体験談:自分の価値観を掘り下げてみた
価値観マップを作る上でやったことは、シンプルです。「楽しかった体験」と「消耗した体験」を書き出して、そこに共通するパターンを探すことです。
楽しかった体験を振り返る
一番最初に浮かんだのは、旅行の計画を立てていた時期のことでした。行き先の調査、ルートの設計、予算の配分。気づけば何時間でもやっていました。そしてその旅行から帰ってきた友人に「今まで行った旅行の中で一番楽しかった」と言ってもらえた瞬間の感覚が、今でも残っています。
次に浮かんだのは、バスケ部でのこと。練習の中で、1on1を100本やろうと言われた時、疲れを感じながらもやめたくなかった。勝負事、対人戦——相手がいる場面では、不思議と力が出ました。
消耗した体験を振り返る
反対に、消耗した記憶を辿ると、共通するパターンが見えてきました。誰かの悪口が中心になる飲み会、三次会まで続いた後の帰り道の虚しさ、終わりが見えない資格の勉強。
資格の勉強が続かないのは、自分の意志が弱いからだと思っていました。でも振り返ると、競う相手がいない、ゴールが抽象的、一人で机に向かうだけ——という状況が問題だったんだと気づきました。意志の問題ではなく、自分の動き方の構造に合っていなかっただけだったのです。
私の価値観マップを公開する
体験を書き出した後、パターンを整理してひとつの構造にまとめました。
【土台:人生の姿勢】 変化は燃料 / 今日が勝負 / いつ終わってもいい
↓ この姿勢から生まれる
【中心核】 創る × 届ける × 誰かへ (何かしたいと思った時、想像の中に常に人がいる)
↓ 何で動くか
【エンジン】 【フィルター】 人との対峙・競争 無駄・消耗・ネガティブ 共有・分かち合い を手放す
↓ 向かう先
【未来】 育てる / 世界に生み出す / 旅を続ける
見た瞬間、「あ、これだ」という感覚がありました。バラバラだった記憶や感情が、一枚の地図に収まった感じ。
価値観マップが教えてくれた3つのこと
「一人ではエンジンがかからない」は弱さじゃない
これが一番大きな発見でした。
私は長い間、「資格の勉強が続かないのは意志が弱いからだ」と思っていました。でも価値観マップを作ってわかったのは、相手・観客・受け取り手がいて初めて本気になれるという自分の構造です。
誰かのために計画を立てると力が出る。競う相手がいると集中できる。発信する相手がいると言葉が研ぎ澄まされる。これは欠点ではなく、ただの設計上の特性です。
大事なのは、この特性を嘆くことではなく、「それを活かせる環境を選ぶ」こと。価値観マップはその判断を助けてくれます。
「創る」と「届ける」はセットで初めて意味を持つ
旅行の計画を立てること自体は好きです。でも一人で完結する旅なら、あれほど熱中しなかったと思います。誰かが喜んでくれるから、もっと良くしたいと思えた。
このブログも同じです。文章を書くこと自体に意味があるのではなく、誰かに読まれて、何かを感じてもらえることに意味があります。
「創る」という行為の先に「届ける」相手がいる。それが自分の中心核でした。何かを始めようとした時に「誰のために?」という問いを持つだけで、モチベーションの質がまったく変わります。
「いつ終わってもいい」は諦めではなく、完結の姿勢
座右の銘のひとつに、こんな言葉があります。
「今日も明日も最後の前の日も注意深く手を尽くし運よく『いつ終わってもいい』と思っていたい」
これを初めて聞いた時、少し怖い言葉だと感じました。でも価値観マップを作ってから、意味が変わりました。
三次会まで続いた後に後悔するのは、「その場で完結できていないから」です。旅行をピークで終わらせたいのも、「完結した形で記憶に残したいから」です。毎日手を尽くしたいのも、「今日という日を完結させたいから」です。
「いつ終わってもいい」は諦めではありません。毎日を完結させて生きる、という姿勢です。後悔のない今日を積み重ねることが、結果として後悔のない人生になる。価値観マップを通して、そう確信できました。
あなたの「原体験」は何ですか
ここまで読んでくださった方は、きっと自分の軸を探している最中だと思います。
価値観マップを作るのに、特別なツールも時間も必要ありません。必要なのは2つの問いだけです。
- 「あの時、なぜ楽しかったのか?」
- 「あの時、なぜ消耗したのか?」
この問いに正直に向き合った先に、自分だけの地図があります。地図があると、迷った時に帰ってこられる場所ができます。
20代のうちに自分の軸を言語化しておくことは、これからの選択をずっと楽にしてくれると思います。やりたいことが見つからなくても大丈夫です。まず、自分が「なぜ動くのか」を知ることから始めてみてください。


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